召喚魔法 06
かつて高度経済成長の時代、企業は仕事の成果に対し給料を払ったのではなかったそうだ。その人間が仕事を通じて成長する。その成長に対して給料が支払われる、こういう時代だったそうだ。
今は少し違う。
実力主義、成果主義の世の中。
けど、人は仕事を通じて成長する。仕事で人と出会い、成長する。
看護婦たちは何を求めて?
重い話なんぞしてくれない。
けど、やっぱり求めているんだろう。
私がそうだった。
患者の一言『ありがとう。』を…。
仕事だから当然?
違う!
彼女たちはお金を求めて返り血を浴びながら患者のもとへ飛び込むのではない。
ステート(聴診器)から聞こえてくる音を決して止めてはならないという使命感の下に。
ただ一言、『ありがとう。』のために…。
それが仕事だ!!
真剣勝負をしない人間には一生味わうことのできない感動…、それはどんな仕事にもあって、それを求めて人は生きていく。腐って何もしない人間には永久に味わうことはできない感動を求めて。
私は自分の仕事に対して妥協を許さない。それは決して口先だけのものではない。
そういう私にしてくれたのは、このICU(集中治療室)のメンバーたちだ!
3月某日の授業で、こんな話をしてやった…。
静まり返る教室。
虐めから不登校になった経験を持つ生徒、感受性豊かな生徒たちは泣いている。そうでない生徒たちも神妙に聞いている。勉強以外のこういう話は、みんな喜んで聞く(笑)。誰も寝ていない。誰も茶化さない。16〜17歳の多感な生徒たち…。
私 『…だから、ニートなんかになるな。』
授業の締めくくりの言葉を吐き、教室を後にした。
|